2016-12-11

舞台美術

こんばんは。落書き作家 umi.です。

昨日、一年間舞台美術で関わっていた公演の打ち上げがあり、朝までわいわいしてきました!w

19時集合で始まった打ち上げが終わったのは午前3時。それからカラオケで仮眠し、始発電車に乗り、ネイルの試験会場に着き・・・

因みに一年間世話になった脚本と演出の方は飲み会一時間で酔いつぶれてまともに挨拶もしていませんw (おーーーい)
現在の劇団ネクスト・ステージさんの舞台のパンフレット用

舞台美術として役割をいただいたのは昨年からですが、そのきっかけはずっと以前からなんです。この絵は高校以降に一番お世話になっていた団体で描いた舞台セットの絵です。

りくろあれさん公演「ツキトコトリ」フライヤー

ここを通じて知り合った方達をきっかけにして、チラシやグッズ等の沢山のお話をいただきました。

劇団シンの箱さん「作品名無題」のパンフレット表紙

宇都宮市民芸術祭演劇部門のチラシ

来年で四回目となる春フェスの一回目のポスター絵

文化会館子供向け事業記念品バッジ
ユニーク・ラビットさん「ゴシックラシック」のアイコン
結婚披露宴公演「幸せのレストラン」で初のライブペイント


トッコ演劇工房「あゆみ」をイメージして染めた布地
りくろあれ さんの公演会場で初の展示会

そして昨年、初めて舞台美術として関わってみたのですが、正直、何が何やら知らないまま公演は終わりました。この舞台にはこんな装置が良いんじゃないかなってくらいを思うだけで、ひたすら板の絵を描いてました。


ここの舞台は狭いので、絵で広く見せて欲しいという要望というかご依頼をいただきました。トリックアートを遣えないかなとあれこれ試したのはもちろん、こんな大きな絵を描いたのも初めてでした。 



どれも知らないことばかり。



舞台美術の勉強までは無理でも、それが何かくらいは知っておきたくて、故・朝倉節さんの舞台美術の痕を観てきました。至近距離一メートルで動き回る舞台セット、衣装に小道具達にとにかく驚きました。人を機能の一部として絵が活かされていくんです。思考停止状態になっただけでしたが、それでも引き受けた以上はやるしかない。


先日担当した舞台は絵描きが登場してくるということもあり、ストーリーイメージを描いていくことから始まりました。(台本は挿絵がついて販売されていますよ。)

先ずは部屋で実験
思い浮かんだものをつくってみる
とりあえず信じてつけていくのみ

今回は「森にしてほしい」というご要望でした。登場人物は二つの意味を持っていて、リアルの世界とノンリアルの世界を行き来するんです。(実際はもっと複雑でしたが、紗幕を使うことで「影」や「境界線」や「場転」を創れたらなとあれこれ提案してみました。スクリーンとしても使えることで奥に大黒を下げられるので、舞台がよりしまることも考えてみました。


歩行が出来る程度の二重舞台にしておくことで、演じる時に彩が出やすいように提案してみました。舞台監督や照明さんがそこに照明をさらに仕込むことで、複数の効果を出すことが出来たようです。

row hee 「列がいい加減な感じで笑う」というタイトルで「木並や客席」の列の表現にも合いました。


照明さん側で影の表現のための照明を沢山仕込んでくれたので、そのリアルな効果が、ロー・ファンタジーとしてのこの作品の要素にぴったりだと感じました。

アトリエ・じゃむ さんは素敵な会場でしたよ

脚本ノートのほんの一部を引用します。
トラルと二コラ ー抱きしめることでしか解決方法が無かった― 
存在しない主人公「女」の身代わりのように二コラが生まれ、その少年・二コラがジャンプした先では、彼は神童の絵描きとして存在していた。彼は創造主であるストレスを感じていた。「女」が望んだ自由気ままな世界は、非現実的過ぎて、身代わりとなった仮の主人公・二コラにとっては苦痛だった。 苦痛から逃れるために、二コラは自らの恐怖を克服するための「自由」を創った。それは、友達とも呼ばれ、夢とも思われる魔法の人形。ニコラは途端にその世界で呼吸を始めることが出来た。 トラルのお陰で、二コラは世界が眩しく見えた。うとましかった能力も、彼にとってはトラルを喜ばせることができる大切な芸となった。 ー大好きなマリの頼みである絵も描けるー 二コラは勇気一つ、マリの絵を描く。しかし、マリという「女」の中にあった優しい魂は、二コラにとっては悲劇の始まりでしかなかった。優しさは、旅を希望した。ここではないどこかへ行きたいと願っていた。そして、旅人・キッソスが生まれた。 女の仮の姿が旅して生まれた二コラ、キッソスは同族嫌悪の対象になった。 トラルは、キッソスも好きだった。トラルにとってみれば、ニコラの恐怖を捨て去る存在は全て承認出来る。キッソスは、二コラをこの世界に執着させる存在であり、トラルにとってみればそれは仲間でもある。 そして、二コラの恐怖を取り除くことが出来るためには、とトラルは考え始める。 失恋した二コラが失意のまま過ごせば、二コラは恐怖を増加させてしまう。トラルは、彼に絵を描かせないといけないと感じた。彼は、一つ思い付き、彼の秘密を世界にばらし始める。 ニコラは、この世界の主なんだよ。そんなメッセージを込めて、二コラに世界の目を向けさせようとした。神様を広めようとしている牧師が引っかかった。しめしめと思っているトラル。ニコラにもっと注目が集まれば、彼は描かないとならない。物語をたくさん描けば、二コラは色んなところへジャンプできる。逃亡できる。 これで、二コラは怖がることがなくなる。恐怖とおさらばだ。 と、思いきやなぜか、自分が天使扱いになってしまう。が、まあいいやとトラルは思った。自分が天使であろうがなんだろうが関係ない。二コラの恐怖を取り除ければそれでよいのだ。トラルはそういう存在だから。ただの布切れだから。 でも、一つ気が掛かりなのは、二コラの本音。二コラは、感じている恐怖の存在を、本当に怖がっているのだろうか。本当に、そこから逃亡したいと思っているのだろうか。 ペローという存在が現れた。二コラが認識できない存在。不確かな存在。彼はきっと、二コラにとって重要な存在だ。そのペローが、真実の本を見つけた。 そうか、ペローは、ニコラの魂を導く存在なんだ。トラルはこっそりとペローに近寄り、様子を見るが、逃げられてしまった。二コラにとって存在不確かな存在は、トラルにとっても存在が不確かで、追いきることが出来ないのだった。 ニコラにとって、優しさは不要なものだと思った。 マリのことを考えている二コラは、なんだか可哀そうだ。優しさなんていらない。もっと、ニコラは強くならないといけない。トラルは、二コラが"魔が差して"描いた絵を見つけた。 この絵を使って、二コラを楽にしてあげよう。マリが居なくなれば、きっと二コラは恐怖なんて感じなくなるから。 トラルがユースに渡したマリの絵は、ユースの恨みを混ぜて魔女の絵になった。マリは、見事にこの世界から消えていった。 トラルにとっての平和な瞬間が訪れた。だって、これで二コラは何も感じなくていいのだから。 ・・・でも、二コラは悲しみでいっぱいになってしまった。旅に疲れた迷い人・キッソスが死んだ瞬間に、二コラの悲しみは最大を迎えてしまった。友達でもないのに、キッソスの死をニコラは受け入れて辛くなっている。 これでは、二コラがまた恐怖を感じてしまう。おかしい、こんな筈じゃなかったのに。 トラルは、思った。私は一体何をしているんだろう。混とんとした瞬間だ。二コラは自分に向かって吠えている。私は、一体なんのために何をしていたんだろう。 本能がトラルを消しにかかかる。 ニコラにとって、自由こそが不要。それこそが、ニコラにとって悪魔そのもの。トラルは、自分の存在の意味を見失った。 ただ、二コラの殺意である牧師の餌食となった。死ぬしかない、僕にはもう生きる意味なんてないのだから。 「女」の生存本能は、生き残るためにすべての感情を消し去った。望むことが女にとって最大の悪、トラルの存在は完全に消えかけようとしていた。 でも、トラルは賭けに出た。いいんだ、存在全てを掛けてでも、二コラを助けてみよう。 ニコラの恐怖を消してあげよう。二コラ自身を僕の手で殺してあげよう。 そうすれば、この物語は終わる。 「生きるも死ぬも、自由だ。」 かすかに残った魂たちが、ニコラをいじめようとしている。 今更、二コラの本当を探してなんになる? 真実なんていらないよ、二コラはただ、死んでいけばいい。 なのに、この魂の欠片たちは、二コラに、二コラを通して「女」に語り掛ける。 意味がないよ、意味がないよ、そんな呼びかけになんの意味があるんだよ。 でも、その呼びかけは続いていく。 トラルはもう、なすすべがなくなった。 答えのない、この回廊で、この包帯だらけの森で、骨みたいなカサカサな森で、 ニコラと一緒に迷ってみよう。 トラルは、二コラに精一杯抱きついてみた。こんな答えの無い場所で迷っても意味がない。

トラルと二コラ
キャラクター一つ一つにこのような設定が細かくされていて、その他にも舞台演出方法やお客様の反応についての予測などが細かくノートされていました。舞台全体を見ると破堤していているのに、出てくるものやキャラクター達やセリフには一つのぶれがない不思議な舞台でした。

舞台にも少し出させていただきました。


生きている絵を描いてく作業はとても楽しい経験となります。この先も演劇とは関わっていきたいと強く願うばかりです。観劇いただいた方達に心から感謝致します。






topi